金曜日が好き

雑多な感想文

こんなにも大切だったなんて

今日感じたことをそのままどこかに残しておきたくて、ペンを執ることにした。正直、今の私の心情はとてもネガティブで、側から見るととても傲慢な言葉もあるかもしれないが、しばしご容赦願いたい。

Sexy Zoneから、中島健人さんが卒業する。

その報せを耳にしたのは、奇しくも友人とSexy Zoneの物語性について語り尽くした後だった。「もう、これ以上の物語を綴るのはやり過ぎだ。そろそろ安心して、幸せになりたい」と話していたが、またひとつ物語が生まれてしまった。

Sexy Zoneからケンティーがいなくなる。そんなこと、想像したことも、想像する日が来ると思ったことすらなかった。ケンティーがこの世界で生きていくすべての原動力は、Sexy Zoneにあると信じて疑わなかった。寝耳に水とは、まさにこのことだ。でも、現実は私が思っていた以上に非情だった。ケンティーは、Sexy Zoneという名前と共に、グループから消えてしまう。

友人と一緒に、FCにアップされた動画を見た。そこには至極前向きな言葉が並べられていた。私たちは言葉をそのまま受け止めることしかできないから、全員が納得して出した答えなのだと思うしかない。だけど、どうしても現実だと思えなくて、それを見て余計に信じられなくなってしまった。

正直、今、とても落ち込んでいる。

私たちはどんなにアイドルのことを理解した気でいても、本当にひとかけらも理解することはできないのだ。ほんの少しの断片を受け取って、それをアイドルそのものだと錯覚しているに過ぎない。だって現に私たちは、「ケンティーはグループのためにずっとずっと頑張るひとだ、改名してもそれを前向きに捉えて、グループの名前を知らせるためにもっともっと頑張ってくれるはずだ」と、勝手に思い込んでいたのだから。どんな苦悩を抱えていたのかも知らずに、私たちは自分たちで描いた理想像に彼を詰め込んでしまっていたのだ。

そんなこと、ずっと前から知っていた。あらゆるお別れを見てきて、私たちが目にしているものはほんの小さな欠片に過ぎないことを知って、言い聞かせてきた。それにもかかわらず、ケンティーに対しては、その事実をすっかりと忘れていた。そして、今回のこの報せで、改めてこの揺るがぬ事実を突きつけられてしまったのだ。悔しいし、自分たちがいかに間抜けだったのかを思い知らされた。本当に、情けない。この世界の事象に、「絶対」も「永遠」もないのに、そのことを忘れていた。

ファンというのは、実に無力で非力な存在である。これもまた錯覚で、こういう出来事に接しない限り私たちはこの事実を忘れてしまう。そして、アイドルが届けてくれる愛の言葉に甘えてしまう。だけど、やはり、最終的に私たちがどれだけ悲しんだり悔しがったりしても、何かを変えられるわけではないし、今までもこれからも、その力を得ることはできないのだ。ただ、願い、祈るだけの、ひ弱な人間の集合体なのである。

私たちは「中島健人」という存在を、どれだけ理解できていただろうか。この決断の裏に秘められた真意を知ることすらできないのに、まったく予想すらしていなかった事実が目の前にあるのに、何をどうすればいいのだろうか。ケンティーがこの場所を旅立ってやりたいと考えていることは、本当にこの場所にいたらできないことなのだろうか。ぐるぐるといろんな疑問が頭を駆け巡った先に、「ケンティーがやりたいことは、この場所では叶えられないって、割り切られたんだ」と感じてしまうことが何より苦しい。それってどんなものなんだろう。それに私たちは納得できる日が来るのだろうか。納得するなんて、なんと烏滸がましい。でもやっぱりこんな幕引きって……と、ぐるぐる。

2022年、彼らはひとつ大きなお別れをした。マリウスの卒業。彼のいないこの場所はとても悲しくて寂しかったけれど、それでもこの場所を残すと決めた4人を守りたかったし、ずっと応援したかった。やはり私はグループの一員として走るアイドルが好きで、居場所を残すと決めてくれた人たちを応援していきたい人間だけど、その相手は、ずっと、ずっと、4人がよかった。信じてしまっていた。ケンティー、こんなことを今ここで言っても意味がないとわかっているけど、私は、すごく寂しいし、悔しいよ。

ケンティーがこの決断を下した経緯を、きっとすべて知ることは不可能に近いだろう。邪推することしかできないが、想像する理由はどれも私たちにはどうすることもできないことで、結局どんなに愛を伝えても、形で示そうとしても、避けられなかったように思う。あまりにも無力だ。ドームツアーのラストで「Sexy Zoneという名前が本当に好きだった」と涙を流したケンティーのことを思い出し、改めて、私はグループ名の改名を本当に軽く見過ぎていたと思った。名前が変わっても、形が変わるわけじゃないから大丈夫、と考えていた私は、あまりにも考えが甘かった。

だからこそ、グループを残すと決めてくれた風磨くん、勝利くん、聡ちゃんのことがとても心配だ。普段からSexy Zoneは私たちにネガティブな感情をあまり伝えようとしないし、とにかく私たちのことを思いやってくれる。そんな優しさも、今は少し辛い。私たちに伝えてくれ、とは言えない。だけど、どこかでちゃんと、言葉にできていますように。私は、あなたたちの味方でいたい。特に風磨くんは、どこかで「それでも、中島が隣にいるから」と思っているところがあったのではないかと思う。そんな存在を失ってしまうこれからのことを考えると、今よりもっと自分をストイックに追い詰めてしまわないか、心配になる。どうか、どうか、責めたり追い詰めたりしないように。もちろんこれは、勝利くんと聡ちゃんも同じく。

この先、私は3人で進むグループ活動を応援できるだろうか。いまはまだ何もイメージできていないけれど、ひとつ確実なのは、この先3人が選んだ道を最大限に応援できる自分でいたいということ。だって、この出来事を踏まえて、グループの看板を畳む選択だってできたはずで、それくらいの大きな出来事だと思うけど、それでも歩みを止めないことを選んだのだから。きっと叶えたい夢は、グループで進む道の先にあるはずだから。その未来には、ケンティーがいてくれたらどんなによかっただろうと思うけど、もういないのだとしたら、私は、3人ができるだけたくさんの夢を叶えていく姿を目に焼き付けていたい。そんな自分でいれるように、祈ることしかできない。

つい先日まで行われていたドームツアーで、風磨くんは「永遠なんてきっとないけど、永遠を信じられる僕たちでいたいし、いてほしいと思う」と言っていた。彼は、どんな気持ちでこの言葉を言ったのか。考えただけで苦しい。それから、数年前のROTで言っていた「だから祈るしかない。どうか20周年を5人で迎えられるように」と言っていたことがずっと忘れられないのだけど、当時こんなことになるなんて一ミリも想像していなかった。当時から風磨くんの気持ちが変わっていないのだとしたら、これほど苦しいことはない。

今回の報せに際し、改めて「永遠なんてない」と突きつけられたし、もう何も信じられなくなりそうなくらい、ショックを受けている。どんなグループにもこれが言える。常に忘れないようにしなきゃいけない。それくらい、ケンティーがこのグループの中で生きている、アイドルとして生きていることは大きな支えだった。「アイドルであることには変わりはない」と言うけれど、私はその言葉には同意できない。あなたは、私にとって、3月31日以降「アイドル」としてみることはできない。それが、何よりも悲しい。

そして、どんなに悲しんでも結局「アイドルとファン」という関係性は「赤の他人」でしかない。アイドルを好きな人間として生きていくにあたって、改めてそれを忘れないようにしなければいけない。近いと錯覚してはならない。この無力さを、ちゃんと実感しながら生きていかなければならない。

最後に。timelessという歌は、当時、「マリウスとSexy Zoneのお別れの歌」だと思っていた。ドームツアーでは「5人と『Sexy Zone』という名前とのお別れの歌」に変わって、今では「ケンティーと、3人のお別れの歌」に変わっていっているように思う。この歌がこんなに意味合いを変えて深く心に刻まれる歌になるとは。ああこんなにも、大切だったなんて。